小鳥

俺の中の正しいことを幾つか瓶に詰める。 そいつを机の上に並べて、叩き潰したい気分になることがある。 君にも解る時が来るさ。

なぁ、小鳥。 君がうちの家族になってから、バラバラになってたものがくっついたんだ。 あれには、俺も驚いたよ。 それまで、”てんでばらばら”だったものが、元に戻ったんだ。 新しい形で。

なぁ、小鳥、もしかすると君のお母さんは怒っているかもしれないな。 だってさ、笑っちゃうと思うけど、俺は25だってのに、家出をした。

なぁ、小鳥。 君が大きくなったとき、世界はいったいどんな風だろう? 世界っていうのは、時々、糞だって思うことがあるよ。 正しい事をしている人が、苦しんでいることもある。 悪いやつが、いい思いをしていることもある。

でも、小鳥。 世の中捨てたもんじゃないのは、正しい事をしている人が必ずいるってことなんだ。 俺は、もう、大人・・・だよな。 でも、何一つ分かっていないよ。 あの頃信じていたことが、世界ではそれほど重要なことじゃないんだ。

でも、小鳥。 世界は、どんな事にもそれなりの答えを用意してくれる。 だから安心していいよ。 それに気づかない人もいるけれど・・・。

君が20才になったら、俺は40才。 その時、俺はどんな人間になってるかな? 君に好かれるような、大人になってるだろうか。 今よりほんの少しでも、マシになってたらいいよな。

なぁ、小鳥。 俺は大馬鹿野郎だな。俺はいまだに、あの時正しい選択をしたのか、分からないんだ。 でも、正しいとか正しくないじゃなくて、俺は自分で決めた。 俺が欲しかったものは、それじゃないから。

みんなが大事にしたかった物ってなんだか分かる? 地位、名声、プライド、そして金だよ。 おかしな話だろう?

だって、

自分たちが谷底に落ちそうだって時に、 崖から身を乗り出して、昔の宝物を取り戻そうとしているんだ。 昔見たワーナーのアニメみたいだろ?

あれは傑作だったな。

でも、小鳥。 自分が崖から落ちたらそれで終わりなんだ。 なぁ、分かるだろう?

本当に大事なことはそれじゃないんだ。 人間はアニメみたいにはいかない。

なぁ、小鳥。 俺は何が言いたいんだろうな? できたら君に会いたいな。 ねぇ、きっと会えるさ。

君のお母さんが怒り疲れて、君が慰められるようになったら。

そうだ、君のお母さんに伝えておいてくれないか? 俺は家族を捨てたわけじゃないって。 そんなの言い訳だと思われるかもしれないけれど、本当のことだよ。 家族のことは、愛してる。 もちろん君のお母さんのこともさ。

でも、俺には耐えられないよ。 仕事は仕事さ。 親父にはセンスがなかった。ただそれだけなんだ。 だから家族を嫌いになったりするわけない。

だからさ、小鳥。 おれは・・・うまい言葉が思いつかないな。 とにかく、その

なぁ、小鳥、元気なんだろ?

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【 二十五ノ夜 】
ChaosBoy

テーマは「脱・思考停止」。
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