搾取が加速する。非正規:無期雇用の憂鬱
働き方改革が、「流行って」ますね。 残業をしないようにとか、いまひとつ的を射ていないことばかりに注力しているイメージですが。
まぁ、わざと的を外しているんでしょう。 矢を射るポーズこそが、大事というわけ。
僕は、派遣社員といういわゆる「非正規雇用」という働き方をしてます。 氷河期世代、ロスジェネの宿命でしょうか。
さて、今日は僕自身の雇用形態である、非正規雇用の無期雇用契約のデメリット を書きたいと思います。
実体験のレビューとして、これから無期雇用契約を結ぶ人や、派遣社員という選択を考えている人の、参考になればと思います。
- 僕の過去の職歴
- 雇用契約、それぞれの違い
- 派遣社員のメリット
- 無期雇用という施策
- 「無期」という言葉のあや
- 半年間は「やめられない」
- いつでも解雇できるコスパ最強な社員 = 無期雇用
- 社員登用を狙う人にとっては、どう考えてもデメリット
- まとめ:派遣社員をさらに搾取するための抜け道が、無期雇用契約である。
しかし、僕の場合は悲壮感はあまりありません。 というのも、派遣社員慣れしすぎて、正社員になりたいと思ったことが殆どないのです。
「正社員の方が窮屈そうにしているのを間近に見ている」というのも、その一因かもしれません。
僕の過去の職歴
- バイト
- 知人のweb系制作会社(謎の雇用形態)
- 実家の手伝い(給料出ない)
- 派遣社員 (月給15万円のプログラマ)
- 正社員
- フリーランス
- 派遣社員
- 派遣社員
派遣が多いですね。 やはり、すぐに仕事が必要な時には役に立つのです。
それ以上に気になるワードがあると思いますが、これはまた別の機会に記事にしてみます笑 氷河期のせいか? 職場運の無さは、なかなかのものだったと思いますよ
感じるヒエラルキー
正規・非正規はもはや身分とまで揶揄されています。 その視点だと、この経歴はまぎれもない底辺ってわけですね。
実際、その身分の低さを感じることは、多々ありますし、全然事実であるとも思います。
モチベーションを上げるために、ヒエラルキーを利用する。 一流企業は、そういうことが非常に得意に感じます。
雇用契約、それぞれの違い
正規雇用、非正規雇用、契約社員、派遣社員。 それぞれの違いを明確にしたいのですが、
今や労働者の4割近く 非正規社員、「正規」との違い(NIKKEI STYLE) - Yahoo!ニュース こちらの記事にあるのですが、非正規の特徴ですが、これは実際のところ全く違いますね。
非正規社員の特徴をまとめると短時間労働、有期契約、転勤がない、という のが一般的です。
短時間労働ではないですよね。 普通に社員と同等。むしろ、業種によっては残業が異様に長いところだって普通にあるはずです。
この違いについては、こちらのサイトが非常に分かりやすくまとめておられます。
派遣社員は、非正規雇用というカテゴリに入るわけです。
年収は倍ほど違う
派遣会社の価格差というのは、凄まじい。
いつも素晴らしいデータを公開してくださっている、舞田さんのサイトで明らかにされています。 データえっせい: 正規・非正規の収入格差(性別,年齢,労働時間を統制)
年収が倍も少なく、交通費も出ない、ボーナスもない。 同じ業務をしていたとしても、この待遇は変わりません。 むしろ、正規社員の身代わりに切られるのが、派遣の主な役割です。
派遣社員のメリット
- 責任の重い仕事を振られるケースが少ない
- 管理職をしなくていい
- ビジネスライクに過ごせる
- 会社への無駄な忠誠心を持たなくて良い
僕はフリーランスで活動したりしていた時期があります。 そんな時、派遣社員であれば、副業的な活動をすることが認められていたことも、重要なメリットでした。 (派遣会社によってはNGなところもあるかもしれません)
忠誠心がいらないのが、一番のメリット
いまだに根性論がはびこる日本企業。 一番厄介なのが、忠誠心ですよね。
しかし派遣であれば、その辺りの精神論から解放されます。 ドライに仕事をしたい僕としては、とても嬉しいポイントです。
ただし、それなりの忠誠を求めてくる職場もあります。 おかげで、それっぽいオーラを醸し出すスキル が身につきました笑
これはしょーもないようでいて、重要なスキルです。 なぜなら、彼らが求めているのは本気の忠誠ではありません。 社員を統率するのに忠誠心が便利だからです。
なので、それを邪魔さえしなければ、誰も文句を言ったりしないのです。
無期雇用という施策
具体的には、こんな感じ。
- 契約期間が半年ごとになる
- 派遣会社の社員になる
- 派遣先との契約が切れても収入が保証される
一言で言えば、「簡単に解雇ができない状況を作る=安定した就労状況を作る」という感じでしょうか。 ここまで聞くといい感じに思えますが、落とし穴的なデメリットがありました。
ちなみに、収入が保証されるというのは、派遣先が見つかるまでの最大2ヶ月とのこと。 次の派遣先が見つからなければ・・・解雇されるのかな。
「無期」という言葉のあや
半年間は「やめられない」
当然、派遣先からの拘束というのも暗黙のうちに強くなります。 派遣会社の担当者もこの点を非常にセンシティブに扱おうとするので、これまでの契約よりもやたらと縛りつける要素が増えてきます。
派遣で働く人の中には、その契約のフレキシブルさというところにメリットを見出している人もいます。 例えば、フリーランスなどの活動をしている人。 大型案件が舞い込んだ場合に、契約を一旦解除してもらうということが可能な契約形態は、とても便利です。
つまり、フレキシブルさというのは、こちら主導で契約を解除することができるという点です。 しかし、これが封じられてしまうのが、無期雇用契約です。
いつでも解雇できるコスパ最強な社員 = 無期雇用
派遣会社の正社員として派遣されるということを、冷静に判断するとこんな感じでしょうか。
- 社員よりも安い価格で、
- 社員並みのルールを適用され、
- 社員と同等あるいはそれ以上の仕事をさせられる
無期雇用契約というものが解決した問題というのは、ただ一つ。 「急な解雇をさせない」ことだけです。
本来、多くの「非正規雇用 = 派遣社員」が望んでいることは、「社員になること= 社員並みの給与と社員並みの社会保障」だと思います。 しかし、何か間違ってますよね。
むしろ、長期で拘束が約束されることで、奴隷感が増すようにすら感じます。
こういった施策を考えたのは、僕よりもはるかに頭脳明晰な方々でしょう。 こんなデメリットくらいは、最初から分かっていたことなのでしょう。
じゃなかったら、ただの阿呆ですからね。
社員登用を狙う人にとっては、どう考えてもデメリット
半年もの間、拘束が可能で、仕事も社員並みを求められる。 そんな中で、わざわざコストを上げてまで社員として登用するでしょうか。
派遣会社側も、派遣社員が正規雇用されることを、そんなに望んでません。 細く長く、ずっと搾取できた方が労せずして利益を得ることが可能だからです。
まとめ:派遣社員をさらに搾取するための抜け道が、無期雇用契約である。
期間の上限を取っ払う点がメリットに感じる人もいると思います。
しかし、そもそもこの上限がなぜ設定されているのか。 それは、「3年も働かせる前に、社員登用をしなさい」という意味もあったのです。
「3年働いて、さらにそれ以上働いて欲しいような人材ならば、正社員化しなさい」という、メッセージのようなものでしょうか。
しかしながら、逆転現象。
無期雇用は、派遣会社の正社員になることにより、雇用が安定したことになります。 そうなると、その3年という枠が外れて、いつまででも派遣し続けることが可能になるという、魔法のような仕組み です。
日本は資本主義です
僕らが社会で行う活動は、お金をどれほど生み出せるかであり、そのためのパーツとなることです。 ここには倫理や感情が入り込む余地はなく、人間性ですらさほど重要ではありません。
行き過ぎた資本主義的な世界の中で、僕らはどう生きていくのか。 この仕組みを俯瞰で眺めながら、それらを利用していく。 むしろ、愉しんでいく。
僕は、その為に、たくさんの知識と体力をためているところです。
ChaosBoy
テーマは「脱・思考停止」。
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